山本 周五郎

日本婦道記

一

「どうかしたのか、顔色がすこしわるいように思うが」

直輝の気づかわしげなまなざしに加代はそっと頬をおさえながら微笑した。

「お眼ざわりになって申しわけがございません、昨夜とうとう夜を明かしてしまったものでございますから」

青空文庫の作品カード