山本 周五郎

日本婦道記

一

「今日は、そんなものを着てゆくのか」

「はい」小間使の八重は、熨斗目麻裃を取り出していた。平三郎は、ぬうと立ったまま八重の手許を見まもる、彼にはなぜ礼服を着てゆくかがわからない。

「なにか今日は、式日だったのか」

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