山本 周五郎

日本婦道記

一

「鰍やあ、鰍を買いなさらんか、鰍やあ」

うしろからそう呼んで来るのを聞いてお高はたちどまった。十三四歳の少年が担ぎ魚籠を背負っていそぎ足に来る、お高は、

「見せてお呉れ」

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