佐々木 味津三

右門捕物帖

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――ひきつづき第十一番てがらに移ります。

事の勃発いたしましたのは師走の月ずえ。今までもしばしば申し上げたように、当今とは一カ月おくれの太陰暦ですから、師走は師走であっても、ずっと寒気がきびしくて、朝夕はへそまでが凍りそうな寒のさいちゅうでした。

しかし、陽気はいかに寒いにしても、犬が東を向けばその尾は必ず西へ向くように、師走が来ればその次にお正月が来ると決まっているんですから、さらでだに火事と師走どろぼうで忙しい江戸の町は、このときにいたってますます忙しさを加え、それだけにまためいめいのふところぐあいも負けないで火の車とみえ、行き行く人の顔は、いずれも青息吐息でありました。

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