佐佐木 茂索

ある死、次の死

一

花嫁が式服を替えて、再座に著いた頃には、席は既に可なりな乱れやうであつた。

隆治夫妻は、機会さへあれば、もう帰りたいと思つてゐた。そこへ、廊下伝ひに来た女中が、彼等の背後の障子を静かに開けた。

「吉田さん、でいらつしやいますね。」と確めるやうに一つ微笑してから、「御電話で御座います。」

青空文庫の作品カード