小穴 隆一

一顆の栗一顆の小なし

花巻・盛岡を巡つて帰つて、私は一顆の栗一顆の小なしを茶の間の卓上に置いてをいた。

一顆の栗と一顆の小なしはそのまゝに、幾日かそのまゝに置かれてあつた。さうした幾日かの後、それら一顆の物は二つとも箪笥の上にあつた。また幾日かして、小なしのはうは黍団子のやうに大事に、隆チヤンとタカチヤンに半分づゝやつてしまつた。

(クラムポンはわらつたよ。)

私は斯う言ふのである。

青空文庫の作品カード