柳田 国男

伊豆大島の話

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大島の野増村にはシツナ神といふ女體の神があつて、近い頃までも稀には男を呪ふ女が祈願をかけたといふ話を聽いたが、本當のことであらうか。其神像は特に陰相を誇張した女姿であり、或は陰毛を拔いて神に祈つたといふ話もある。土地の歌にも、「しかながそゝ毛に掛けましよか」といふ文句があるさうだから、大和近江武藏下總其他に傳はつて居た七難の口碑と近似する所はあるのである。もし方法があるならば、今少しく事實を確かめて見たいと思つて居るが、兎に角に問題として注意を乞つて置く。

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大島の何村であるかは知らぬ。七人樣といふ唄が傳はつて居るさうだ。又ソファイ殿といふ歌もある。其章句だけは一見したけれども、意味がはつきりとせぬ上に、若干の近代語がまじつて居るのを見ると、果してそれが元歌であるか否かも明白でない。始は踊に伴ふクドキの類であつたらうと思ふ。

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