山本 周五郎
歔欷く仁王像
一
――まあ、なんて清吉は色が白いのだろう。
黴臭い匂いのこもった土蔵の二階である。鎧櫃や長持や用箪笥を積重ねた狭い片隅に、じっと身をひそめていたお通は、今しも階下から自分を捜しに来た清吉の姿を、そっと覗きながら口の内で呟いた。
――眼も大きくて綺麗だし、髪も漆のように艶々と美しいし、まるで女の子みたいだわ。
山本 周五郎
一
――まあ、なんて清吉は色が白いのだろう。
黴臭い匂いのこもった土蔵の二階である。鎧櫃や長持や用箪笥を積重ねた狭い片隅に、じっと身をひそめていたお通は、今しも階下から自分を捜しに来た清吉の姿を、そっと覗きながら口の内で呟いた。
――眼も大きくて綺麗だし、髪も漆のように艶々と美しいし、まるで女の子みたいだわ。