海野 十三

江戸推理川柳抄

推理川柳とは、私が仮りにつけた名称であって、推理を含んだ川柳という意味である。

雷も雀がなけばしまいなり

 この句の味い方を、推理川柳の立場からしてみると、「雷があばれているうちに、雀が鳴きはじめると、もう雷鳴はおしまいになると推理してよろし」というわけ。この法則は、雷嫌いの多かった江戸時代の人々にたいへん重宝がられたことであろう。「あッ、雀が鳴きだした。もう雷さまは行ってしまうぞ。やれやれ」と、蚊帳から匐い出す。

この句の扱っている内容が、推理川柳の好見本だとはいわない。もっといい推理川柳が少からずある。しかしこの雷と雀の鳴き声の如き取扱いをしている句は、江戸川柳の中に至るところに散見する。

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