山本 周五郎
初午試合討ち
一
「大変だあ大変だあ、頭いるか」
表からやみくもに跳込んできた安吉、お天気安という綽名のある若い者だ、――ちょうどいま上りっ端で、愛用の鳶口を磨いていたは組の火消し頭佐兵衛、
「ええ騒々しいや、頭アいるかって眼の前にいるおいらが見えねえのか」
山本 周五郎
一
「大変だあ大変だあ、頭いるか」
表からやみくもに跳込んできた安吉、お天気安という綽名のある若い者だ、――ちょうどいま上りっ端で、愛用の鳶口を磨いていたは組の火消し頭佐兵衛、
「ええ騒々しいや、頭アいるかって眼の前にいるおいらが見えねえのか」