東野辺 薫

和紙

一

昨夜寝床に入ってからも、あれこれと思いめぐらしてみたのだが、別にこれという嘘言も浮かんでは来なかった。新聞の広告で見た新刊書がどうしても買いたくなったからと、半日をつぶすにしてはいかにも気の利かない口実とは承知でも、ともかくそんなことで町へ出ることにした。まだ細紐だけで炉の火を焚きにかかった母に、起きがけの一服をつけながら友太はさりげなく言い出した。

「……何せ、早く買わねどすぐ売り切れてしまうで……。」

「んだどもや。この頃は何でもそうだ。」

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