ジェイコブス ウイリアム・ワイマーク
井戸
※(ローマ数字1、1-13-21)
古い田舎の邸の撞球室で、二人の男が立ち話をしていた。気合の入らなかった玉突きは終って、二人はひらかれた窓ぎわに腰をおろし、窓の下からひろがっている庭園を眺めながら、けだるそうに話しあった。
「君ももう、いよいよだな、ジェム」とうとう、一人が言った。「今度は六週間あくびしながら蜜月をすごして、客を招いた男を――いや、女をというつもりだったが――さぞかし呪うだろうな」
ジェム・ベンスンは椅子に腰かけたまま長い手足をのばして、なにやらぶつぶつ異議をとなえた。