ロティ ピエール
氷島の漁夫
第一編
一
恐ろしく肩幅の廣い五人の男が、鹹氣と海との臭ひのする或る薄暗い家のやうななかで、肱を突いて酒を飮んでゐた。彼等の身長にはひくすぎるその棲家は、一方の端へ末細りして、丁度大きな海鴎の空虚な腹のやうであつた。それは緩い、眠氣を催させる、單調ななげきを立てて、微かに搖れた。
外界は確かに海と夜とであつた、が、それについては少しもわからなかつた。天井にたゞ一つだけ開けてあつた窓は木の蓋で閉されてゐた。そして古い吊りランプがゆら/\搖れて彼等を照らしてゐた。
ロティ ピエール
第一編
一
恐ろしく肩幅の廣い五人の男が、鹹氣と海との臭ひのする或る薄暗い家のやうななかで、肱を突いて酒を飮んでゐた。彼等の身長にはひくすぎるその棲家は、一方の端へ末細りして、丁度大きな海鴎の空虚な腹のやうであつた。それは緩い、眠氣を催させる、單調ななげきを立てて、微かに搖れた。
外界は確かに海と夜とであつた、が、それについては少しもわからなかつた。天井にたゞ一つだけ開けてあつた窓は木の蓋で閉されてゐた。そして古い吊りランプがゆら/\搖れて彼等を照らしてゐた。