中谷 宇吉郎

墨流しの物理的研究

寺田寅彦先生は晩年理化学研究所で、墨流しの研究に着手された。その研究の進行につれて、東洋に於て古代から使われている墨は、膠質学(1)上より見ても、非常に複雑で興味深い問題であることが分かり、この研究は「墨汁の膠質的研究」となって、先生の逝去の直前まで数年間続けられていた。その結果の前半は、既に理研欧文報告第二十三巻及び二十七巻にそれぞれ、

Experimental studies on Colloid nature of Chinese black ink. Part ※(ローマ数字1、1-13-21) and ※(ローマ数字2、1-13-22).

として発表され、またその続きは帝国学士院記事第十一巻に、

Cataphoresis of Chinese ink in water containing deuterium oxide.

青空文庫の作品カード