アンデルセン ハンス・クリスチャン
とびくらべ
あるとき、ノミと、バッタと、とび人形(注)が、われわれの中で、だれがいちばん高くとべるか、ひとつ、ためしてみようじゃないか、と言いました。そこで、さっそく、世界じゅうの人々に招待状を出して、このすばらしいとびくらべを見たいと思う人は、だれでも、呼んであげることにしました。
さて、いよいよ、この三人の高とびの選手たちが、そろって部屋の中にはいってきました。
「では、いちばん高くとんだものに、わしの娘をやることにしよう」と、王さまが言いました。「せっかく、高くとんでも、ほうびがなにもないのでは、かわいそうだからのう」
ノミが、いちばんさきに出てきました。ノミは、礼儀作法をちゃんと心得ていて、あっちへもこっちへも、ていねいにおじぎをしました。むりもありません。ノミのからだの中には、お嬢さんの血が流れているのですからね。それに、ノミがいつもおつきあいしているのは、人間ばかりですしね。これも、忘れてはならない、たいせつなことです。