佐藤 春夫
最も早熟な一例
(一)
いやしくもレディの雑誌に、滅相もないこんな欄を設けたものだ。しかもそれが読者によつて迎へられると聞いては、もうすつかり顔まけで、また何をか言はんやといふ気持である。わたくしはそんな時代おくれの老人であると、先づそれをご承知置きありたい。
小島政二郎だの[#「小島政二郎だの」は底本では「小嶋政二郎だの」]さては舟橋聖一、その他、こんな話題を巧みにこなす諸公がおほぜいゐるなかから、何でわたくしに白羽の矢を立てたものやら。それをまたわたくしが引き受けるはめになつたのは取次ぎの電話の聞き方の不十分による行き違いの結果なのである。
ままよ、五枚や十枚の原稿など、ひらりと体をかわし顧みて他を言つてゐるうちにすんでしまふだらう。