山川 方夫

歪んだ窓

朝からの雨が窓を濡らしている。アパートの小暗い部屋の中で、レーン・コートを出し手ばやく外出の仕度にかかる姉を、彼女は隅っこから目を光らせて見ていた。

「いいわね? じゃ、ちゃんとおとなしくお留守番をしててね。すぐ帰ってくるから」

姉はいった。彼女は答えない。が、姉はそんな妹には、すっかり慣れっこになってしまっていた。そのまま扉に向った。

突然、彼女は低い声でいった。

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