山本 周五郎
死処
一
夏目吉信(次郎左衛門)が駈けつけたとき、大ひろ間ではすでにいくさ評定がはじまって、人びとのあいだに意見の応酬がはげしくとり交わされていた。
「父うえ、おそうござります」
末座にいた子の信次が、はいって来た父吉信をみて低いこえで云った。
山本 周五郎
一
夏目吉信(次郎左衛門)が駈けつけたとき、大ひろ間ではすでにいくさ評定がはじまって、人びとのあいだに意見の応酬がはげしくとり交わされていた。
「父うえ、おそうござります」
末座にいた子の信次が、はいって来た父吉信をみて低いこえで云った。