グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
カエルの王さま
むかしむかし、まだどんな人ののぞみでも、思いどおりにかなったころのことです。
あるところに、ひとりの王さまが住んでいました。この王さまには、お姫さまがいく人もありましたが、みんなそろって、美しいかたばかりでした。なかでもいちばん下のお姫さまは、それはそれは美しいので、世のなかのいろんなことをたくさん見て知っているお日さまでさえも、お姫さまの顔をてらすたびに、びっくりしてしまうほどでした。
王さまのお城の近くに、こんもりとしげった森がありました。森のなかには古いボダイジュが一本立っていて、その木の下から泉がこんこんとわきでていました。
暑い日には、お姫さまは森のなかにはいっていって、このすずしい泉のほとりにこしをおろしました。そして、たいくつになりますと、金のまりをとりだして、それを高くほうりあげては、手でうけとめてあそびました。これがお姫さまにとっては、なによりもたのしいあそびだったのです。