グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
こわいことを知りたくて旅にでかけた男の話
あるおとうさんが、ふたりのむすこをもっていました。にいさんのほうはりこうで、頭がよくて、なんでもじょうずにやってのけました。ところが、弟のほうときたら、まぬけで、なんにもわからないし、なにひとつおぼえることもできないというありさまでした。ですから、弟の顔を見るたびに、だれもかれもこういうのでした。
「こういうむすこがいたんじゃ、おやじさんはいつまでたってもたいへんだなあ!」
こんなわけですから、なにかすることのあるときには、いつもきまって、にいさんがやらされました。けれども、ときには、おそくなってからとか、どうかすると夜中などに、なにかとってきてくれと、おとうさんからいいつかることもあります。そんなとき、墓地とか、あるいはどこかおそろしい場所をとおっていかなければならないようなばあいには、にいさんはいつもこうこたえました。
「いやだ、いやだ、おとうさん。そんなところへはいかないよ。ぞっとする。」