ルヴェル モーリス
集金掛
ラヴノオは、同じ銀行に十年間も集金掛を勤めていて、模範行員と呼ばれた男であった。塵ほどの失策もなければ、只の一度だって間違った帳記けを発見されたこともなかった。
係累のない独り者で、やたらに友達をつくりもしなければ、カッフェなんかに出入りするという噂も聞かぬ。それに色恋の沙汰もなく、只もう満足してその分を守っているようであった。
「そんなに大金を扱っていると、さぞ誘惑を感じるでしょうね」
人がそんなことを訊くと、
ルヴェル モーリス
ラヴノオは、同じ銀行に十年間も集金掛を勤めていて、模範行員と呼ばれた男であった。塵ほどの失策もなければ、只の一度だって間違った帳記けを発見されたこともなかった。
係累のない独り者で、やたらに友達をつくりもしなければ、カッフェなんかに出入りするという噂も聞かぬ。それに色恋の沙汰もなく、只もう満足してその分を守っているようであった。
「そんなに大金を扱っていると、さぞ誘惑を感じるでしょうね」
人がそんなことを訊くと、