ルヴェル モーリス

蕩児ミロン

若くもなければ美人でもないあの女に、ミロンがどうしてあんなに惚せたのか、それは誰にもわからぬ謎であった。

ミロンはそれ以来、親友にも疎くなり、始終彼を見かけた場所へも、ぱったり顔を見せなくなった。そればかりでなく、彼は芸術のためという真摯な態度を棄ててしまって、下らない糊口的の絵を描きだした。

或るとき旧友の一人が彼を諫めた。

「君は馬鹿だな、ミロン。君はこの頃下らん仕事ばかりやっているものだから、腕が荒ぶのだ、芸が堕落するんだ」

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