北大路 魯山人
沢庵
たくあんの話をしてみよう。
今日食べたたくあんは、加賀の山代でできたものである。わたしの知っているかぎりでは、山代産のたくあんが一等よいものだと思う。これは、だいこんが寒国でできたことが主なる原因だが、山代のは他のコツもあって伊勢のものとも違う。伊勢のも種類があり、いいものだが、山代のには及ばない。伊勢は産業として、大量に生産しているので、山代のようなウブなうまさはない。五十年も前には、山代のようなうまさもあったようだが、しかし、伊勢のもぬかが多いので、それだけのうまさはあるといえよう。
山代のも、多量のぬかを使っていて、ぬかの中からたくあんを掘り出す感があるが、このようにぬかを多く使用することは、うまいたくあんを作るコツである。
東京のたくあんの漬け方は、黄色の色素でカムフラージュされていて、うまくない。これは明らかにぬかの少ないせいだといえよう。