北大路 魯山人
白菜のスープ煮
白菜の煮方などは、一般にあまり吟味したやり方が行われていないと思うので、とりあえずここで扱うことにした。
白菜というものは、元来中国青島の産であるが、昔から朝鮮にも多く栽培されていた。これは寒帯にできる野菜であるから、東京辺つまり暖地のものは、品質があまりよくないといえよう。
白菜の料理は、魚や肉には軽い調節になってよいものだ。白菜は純日本のものではないから、いわゆる日本料理として扱いにくいものの部類に属している。しかし、白菜のスープ煮というものはなかなか気の利いたものである。鶏の骨ばかり(肉のまじらないもの)叩きつぶしてスープを取る。肉のまじったもののスープは、味が俗になってだめだ。このスープは塩で味をつけるのがよろしい。この場合醤油は用いない。醤油では色がついて、白菜の白さを汚してしまうから感じが悪い。あの白い白菜の色を殺してしまうと、よそゆきの料理にはならない。醤油はヤマサ、キッコーマンはもちろんのこと、薄口にしても色がつく。それではお惣菜になってしまう。白菜のスープは純白であること、白菜が白菜そのままの色を保っていることが貴いのである。
次に味についても、白菜自体の甘味があるから、やはり塩で加減するのがよろしい。煮えたものを器に盛るときは、薬味を用意しておいて添える。