チェスタートン ギルバート・キース

とけない問題

この変てこな事件――ブラウン神父が出合つた多くの事件の中でも或る意味で一番変てこな事件が起つたのは、たまたま例のフランス人の友達フランボウが犯罪商売から隠退して、犯罪調査者の商売を大元気で盛大に開業していたときであつた。偶然またフランボウは、泥棒としても泥棒捕獲者としても、どちらかといえば宝石泥棒を専門にしていて、この問題については、宝石の鑑定およびそれと同様に実際的な宝石泥棒の鑑定という点で、双方ともエクスパートだと認められていた。そこでこの物語がはじまる特別の日の朝、フランボウが友達の坊さんに電話をかけたのは、この問題についての彼の特殊な知識と、それだからこそ依頼を受けた特殊な任務に関係することであつた。

ブラウン神父は、たとえ電話にしても、昔の友達の声を聞いたので大喜びだつた。しかしふつうは、そして特にその特別の瞬間は、ブラウン神父は電話にウンザリしきつていた。彼は相手の顔をよく見て親しい気分で話すほうが好きであつたし、それにそういう風にしないで言葉のやりとりだけでは、特にまつたく未知の相手の場合などは、大へん誤解を生じやすいことをよく知つていた。ところが、その特別の朝にかぎつて、まつたく未知の連中が群をなしてなんだかわけのわからない言葉のやりとりを耳元でワンワンわめき立てていたようであつた……電話は悪魔にとりつかれたようにつまらない事ばかりならべ立てた。たぶん一番はつきりしていた声は、ブラウンの教会に掲示してある正規の料金を支払うから殺人と泥棒の正規の免許状を出してもらえまいかと頼んできた声であつた。この未知の相手は、そんなわけにはいかないと言われると、うつろな笑い声を

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