グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
白ヘビ
いまからずっと、むかしのこと、あるところにひとりの王さまが住んでおりました。その王さまのかしこいことは、国じゅうに知れわたっていました。とにかく、王さまの知らないことは、なにひとつないのです。どんなにないしょのことでも、空をつたわって、王さまのもとに知れるのではないかと思われるほどだったのです。
ところで、王さまにはかわった習慣がひとつありました。それは、まい日お昼の食事がすんでからのことでした。食事のおさらがすっかりさげられて、その場にだれもいなくなりますと、ひとりの信用のあつい召使いが、いつもきまって、なにかもうひとさらもってくることになっていたのです。けれども、それにはふたがしてありますので、その召使いでさえも、おさらのなかになにがはいっているのか知りませんでした。それに、王さまはひとりきりにならないうちは、けっしてふたをあけて、食べようとはしませんので、だれひとりその中身を知っているものはありませんでした。
こうしたことが、長いあいだつづきました。ある日のこと、おさらをさげた召使いが、どうにも中身を知りたくなって、そのままそのおさらをじぶんのへやにもっていきました。召使いは扉を注意ぶかくしめてから、ふたをとってみました。と、なかには一ぴきの白ヘビがはいっています。召使いはそれをひと目見ますと、どうしても食べてみたくなりました。そこで、白ヘビをほんのすこし切って、口にいれました。
ところが、どうでしょう、それが舌にさわったとたん、窓のそとから、やさしい声で、ふしぎな、ひそひそ話をしているのがきこえてきたではありませんか。そばへいって、耳をすましてみますと、それはスズメたち