グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール

漁師とそのおかみさんの話

むかしむかし、ひとりの漁師とそのおかみさんがおりました。ふたりは、海のすぐそばの小屋に住んでいました。漁師はまい日魚つりにでかけました。あけてもくれても、魚つりばかりしていました。

あるとき、漁師はつりざおのそばにすわって、きらきらかがやく水のなかをじっとのぞきこんでいました。漁師は、いつまでもすわったきりでした。

と、とつぜん、つり糸が水底ふかくぐんぐんしずんでいきました。漁師がさおをあげてみますと、大きなヒラメがかかっていました。すると、そのヒラメが漁師にむかっていいました。

「ねえ、漁師さん、おねがいだから、わたしを生かしておいてください。わたしは、ほんとうはヒラメではなくって、魔法をかけられている王子なんです。あなたがわたしを殺したところで、なんの役にたちましょう。食べてもおいしくはありませんよ。どうかもういちどわたしを水のなかにいれて、にがしてください。」

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