中谷 宇吉郎

桃林堂の砂糖づけ

シカゴに、フルーツ・ケーキをつくっている会社がある。菓子の名はサラ・リイといい、アメリカでも、一流品とされている。もっとも大量生産としての一流品である。

そこの主人が、細君をつれて、先日、日本へ遊びに来た。シカゴにいた頃、家庭的に親しくしていたし、その後も娘たちをたいへん可愛がってくれていたので、大いに歓迎しようということになった。

しかし厄介なことには、相手は非常な金持ちで、世界中を遊び廻るのが道楽である。ヨーロッパはもう見あきているので、昨年は、アフリカを一廻りした。アルジェリアから始めて、コンゴを通り、南端の喜望峰まで、主なところは全部廻ったそうである。

今年は、欧州の東部から、印度、マレーなどを廻って、日本が旅程の最後になっていた。もうたいていのことには驚かなくなっているにちがいない。それで何かかわったところと考えていたところ、たまたま暮しの手帖の大橋鎮子さんから、八尾の桃林堂の話をきいた。

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