中谷 宇吉郎

ハワイの色

ハワイは美しいところである。一番驚くのは、パイナップル畑の土の色であって、本当に真赤な色をしている。日本でいう赤土などとは、まるでちがっていて、文字どおりに真赤である。あの土を採ってきたら、そのまま油画の赤絵具に使えそうな色なのである。

こういう赤土はシンガポールでも前に見たことがある。その時も、熱帯の土地に特有な植物の鮮やかな緑と、目に痛いような真赤な土との激しい対照に、特殊な美しさを感じた記憶がある。

パイナップルの葉は、鮮やかな緑というよりも、白緑がかった浅い緑である。それで赤土との対照も、それほど激しくは感ぜられない。しかしとにかく、日本には無い色の世界を現出している。

パイナップル畑よりももっと驚くのは、家々の庭や、垣根などに咲いている花の色である。もちろんいろいろな色があるが、とくに真紅の花が、目のさめるような色をしている。それはただ赤いというばかりでなく、輝いた色なのである。濃い緑の葉蔭から、この真紅の花がのぞいていると、それが光り輝いて見えるのである。

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