山川 方夫

ロンリー・マン

私は汗を拭いた。いくら拭いても汗がながれてくる。部屋はひどくむし暑かった。

電灯がぼんやりと意識の隅で光っていた。

私は放心にちかい状態にいたのだったかもしれない。脚だけが小止みなく動いていた。目は絨毯だけをみつめ、だが、私はそこに何の考えも眺めていたのではなかった。……私は、せまい部屋の中を、さっきから歩きつづけていたのだ。

せまいとはいっても、ここは私の城だ。ポケットの上から部屋の鍵をたたいて、なんとなく私は心が落着くような気がした。

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