金森 徳次郎

親は眺めて考えている

ペンギンの連想

見はるかす積雪の原である。何か氷山の一部らしい。その広野の中を自然に細長い行列を組んでモーニング姿の者が前進して先方の低い丘陵のかなたに消えて行く、何千という数だろう。黒いモーニングはからだにぴったりあっているがズボンの方は白色だ。澄んだ音楽の行進曲に歩調が揃って行く。これはその実「ペンギン鳥の住みかを訪ねて」と題する南極での実写だ。

今日南極の氷山や雪原の中に沢山の大きなペンギン鳥の集団がある。その生態は大抵の動物学者もよくは知らないが、それをカメラが追求して実写したのである。

およそ生物の中で身のたけ四尺以上あって二本足で立って歩いているものは、人間の外にはペンギン鳥ぐらいだろう。鶴や鷺だってそうかも知れぬが立って歩くという感じにならない。とにかく黒のモーニングの礼装したような風態で、それがチャップリンもどきの足つきである所が面白い。音楽に歩調をあわせて整然と進んで行くのを見ていると「えらいものだ! 音楽がわかる」と口をすべらしそうだ。

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