山川 方夫
はやい秋
東京に帰ってきた彼は、見違えるように逞しくなって、ひどく日焼けしていた。ほとんど毎日海で泳ぎ、鼻のあたまの皮も、三、四へんは剥けたようだという。
だが、ふしぎにその日、彼には元気がなかった。こっちがいくらエンジンをかけようと努力しても、すぐ彼の目はうつろになり、いつのまにか、窓越しにまだ早すぎる秋の空をぽかんとみつめている。
なんとか気分を変えねばならなかった。私は煙草に火をつけ、からかうようにいった。
「いったい、どうしたんだ? 彼女にでもふられたのか?」
山川 方夫
東京に帰ってきた彼は、見違えるように逞しくなって、ひどく日焼けしていた。ほとんど毎日海で泳ぎ、鼻のあたまの皮も、三、四へんは剥けたようだという。
だが、ふしぎにその日、彼には元気がなかった。こっちがいくらエンジンをかけようと努力しても、すぐ彼の目はうつろになり、いつのまにか、窓越しにまだ早すぎる秋の空をぽかんとみつめている。
なんとか気分を変えねばならなかった。私は煙草に火をつけ、からかうようにいった。
「いったい、どうしたんだ? 彼女にでもふられたのか?」