グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
おくさま狐の御婚礼
一番めの話
むかしむかし、あるところに尻尾の九本ある古狐がいました。古狐は、じぶんのおくさまが心がわりしたのではないかとうたぐって、おくさまを試してみることにしました。ふるぎつねは、腰かけ台の下へ大の字なりになって、ぴくりとも動かず、まるでぶち殺された鼠のように、死んだふりをしていたのです。
おくさま狐は、じぶんのおへやへ行って、とじこもりました。おくさま狐のお女中のおじょうさん猫は、おへっついの上にすわって、ぐつぐつ、煮ものをしていました。
やがて、ふる狐の死んだことが知れわたると、おくさま狐をおよめさんにほしいという者が、いくたりも会いにきました。お女中は、だれだか、戸口に立って、こつこつと戸をたたいているのを聞きつけました。立って行って、戸をあけてみると、としの若い狐が一ぴきいて、こう言いました、