グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール

狐と猫

猫が森のなかでお狐さまに行きあったことがありました。「きつねは、りこうで世慣れてる、世間でたっとばれてる」と、こう考えたので、猫は、あいそうよく狐に話しかけました。

「おきつねさま、今日は! ごきげんいかがですか、ご景気はいかがですか、せちがらい世の中になりましたが、おきつねさまは、どんなお生活をなすっておいでですか」

狐は、それはそれは威張りくさって、猫を、あたまのてっぺんから四足のさきまで、じろじろながめているだけで、なんとか返答をしてやったものかどうか、しばらくは見当がつきませんでした。やっとのことで狐の言うには、

「なにょう! きさまなんざ、ひげそうじのしみったれ野郎の、斑の、阿呆の、腹ぺこの、ねずみとりじゃねえか。なにょうかんげえたんでえ、このおれさまに向って、ごきげんいかがですかなんてぬかしゃがって、ふてえやつだ。きさま、なにをならった? きさまのできることは、いくつあるんだ?」

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