夢野 久作

童貞

「俺はここで死ぬのかな……」

そう思いつつ昂作はヒョロヒョロと立ち止まった。眼の前の電柱に片手を支えると、その掌に、照りつけた太陽の熱がピリピリと泌み込んだ。

彼は今にも倒れそうに咳き入りつつ、地面に映る自分の影法師を見た。……蓬々と延びた髪の毛……無性ヒゲ……ボロボロの浴衣……結び目をブラ下げた縄の帯……瘠せ枯れた腕……灰色のホコリにまみれた素跣足……そんなものの黒い影が、一寸法師のように、眩しい地面に這いついていた。

その足下を見詰めながら彼は今一度……

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