坂口 安吾

光を覆うものなし

私はこの事件を告発して、いったん検察庁にまかせたのだから、検察庁の調査が完了して公式の発表が行われるまで、私自身の発言は差し控えるツモリであった。

ところが十月二日の朝日と毎日の朝刊に妙な記事が現れた。沼津地検へだした証拠物件の写真を静岡国警へ鑑識を依頼し、その結論として写真に修正が施されていないことが明かとなったので(以下は毎日の記事)沼津地検は私の出頭をもとめて事情を再聴取することになった、というのである。

藤井弁護士はこの記事を見て単独(私には通告なく自分だけの意志で)即日沼津地検へ出頭、検事が不在のため、事務官に尋ねたところ、地検からはそのような発表は行わなかった、という返答であったそうだ。

また、常識から考えても、検察庁で調査中の事件に、中間的な発表が行われることは考えられないことである。

青空文庫の作品カード