長塚 節
長塚節歌集
明治三十七年
青壺集(二)
郷にかへる歌并短歌
草枕旅のけにして、こがらしのはやも吹ければ、おもゝちを返り見はすと、たましきの京を出でゝ、天さかる夷の長路を、ひた行けど夕かたまけて、うす衾寒くながるゝ、鬼怒川に我行き立てば、なみ立てる桑のしげふは、岸のへになべても散りぬ、鮭捕りの舟のともしは、みなかみに乏しく照りぬ、たち喚ばひあまたもしつゝ、しばらくにわたりは超えて、麥おほす野の邊をくれば、皀莢のさやかにてれる、よひ月の明りのまにま、家つくとうれしきかもよ、森の見ゆらく、
長塚 節
明治三十七年
青壺集(二)
郷にかへる歌并短歌
草枕旅のけにして、こがらしのはやも吹ければ、おもゝちを返り見はすと、たましきの京を出でゝ、天さかる夷の長路を、ひた行けど夕かたまけて、うす衾寒くながるゝ、鬼怒川に我行き立てば、なみ立てる桑のしげふは、岸のへになべても散りぬ、鮭捕りの舟のともしは、みなかみに乏しく照りぬ、たち喚ばひあまたもしつゝ、しばらくにわたりは超えて、麥おほす野の邊をくれば、皀莢のさやかにてれる、よひ月の明りのまにま、家つくとうれしきかもよ、森の見ゆらく、