矢田 津世子
万年青
福子は笑い上戸で通っていた。睫毛のふかいパッチリと見開いた丸っこい眼が、みるみる三日月になってクツクツと笑いだす。そばにいるものまで、つい、つりこまれて笑い出す始末だった。
「まあ、福子さんたら、何がそんなに可笑しいの?」
つりこまれて一緒に笑い出した友だちが、しまいにはおなかを痛くして、わけもなしに肚を立てて、こう恨みがましく福子を責めることさえあった。
笑うまいと力んで口を固く結んでいても、しぜん、ほぐれて、笑い出してしまう。生れつき、笑いの神様がちゃんと胸の中に鎮座していらっしゃるのだと、福子自身は諦めている。神様の居催促にあっては叶わない、笑わないわけにもいかないと、こっそり自分に言い訳を云ったりした。