中谷 宇吉郎

続生活の組織

二世の日本人で、シカゴ大學を出て、今インランド・スチール會社につとめている男がいる。たいへん拔擢されて、入社後數年でもう課長になっている。

その男が今度家を新築したというので、お祝い旁々、昨日の土曜日に、家を見にいった。ミシガン湖畔の砂丘地帶で、環境のよい住宅區域にあった。家も全部デュラルミン・サッシュを使ったハイカラな近代住宅である。

まことに結構な話で、一應お祝いはいったが、一つ腑に落ちない點があった。いくら大會社で拔擢されたといっても、大學を出て四五年で、こういう自分の家が建てられることが、不思議であったからである。

聞いてみたら、これは月賦であるという。しかも三十年月賦で、毎月の拂い分は百ドル。この種の家にしては、家賃よりも安いくらいである。三十年はずい分長いが、家賃よりも安ければ、途中で放棄しても損はないし、また轉任の時は、權利の買い手はいくらもあるという話であった。

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