中谷 宇吉郎
大漁貧乏
最近のラジオで、宮城縣のサンマの大漁貧乏の話をしていた。
サンマがとれすぎて、加工も間に合わず、一貫三十圓まで下がったが、それでも買い手がないということであった。漁業會の人だったかが、「もうこうなると、少し漁がなくなってくれるのが、一番いいんですがね」とこぼしていた。
氷が間に合わず、魚肥にするにも釜が足りないとなると、こういう贅澤な(?)悲鳴が出るのも仕方がないことであろう。不漁で一番困るのは漁師であろうが、とれすぎても、やはり漁師が一番困るのでは、全く浮ぶ瀬がない。
昔、二十年ばかり前の話であるが、札幌へ初めて赴任してきたころ、鮪がとれすぎて、大暴落をしたことがある。釧路の附近で、鮪の大漁があって、氷と輸送とに困り、大鮪一匹八十錢にまで下がったことがある。今の圓價にして二百五十圓くらいである。