中谷 宇吉郎
有効な日曜日
八月七日はたいへん有効な日曜日だった。
六日の土曜日は忙しい日で、旅行の準備をしながら、この百回の隨筆の原稿を少し書き溜めたりするのに、夕方の六時頃までかかった。それから夕飯を食べて、九時半羽田發の日航機に乘った。
氣流の状態が非常によかったので、ビールを一本飮んで、ぐっすりと寢込んだ。そして眼が覺めたら、ウェーキ島に着いていた。ここで一時間止まるので、その間に休憩所で朝飯を食べて、又飛行機に乘った。
氣象状態は益々良いので、まるで飛行機は空中の一點に止まっているようである。見渡す限りの靜かな太平洋一面、遙か下方に小さい積雲が一杯に散らばっている。何時まで經っても、全く同じような姿である。そのまま夕方になって、ハワイに着いた。途中で「唯今日附變更線を通過しましたから、又八月六日に戻ります」というアナウンスがあった。それでハワイ着は八月六日土曜日の午後八時ということになった。