中谷 宇吉郎

ソ連の人工衛星

八月十五日のシカゴ・サン・タイムスに、ソ連の人工衞星の研究の話が出ていた。見出しは「動物を三百マイルの高空まで打ち揚げる」というのである。

先日、アイクが、アメリカの人工衞星の豫算を承認したことは、日本の新聞でも大々的に報道されたが、この人工衞星の問題でも、目下米ソは眼に見えない競爭で、しのぎを削っている傾きがある。

人工衞星の計畫は、もとはヒットラーの夢として、ドイツで提出されたものであるが、それは戰後アメリカに引きつがれ、今またソ連が猛烈なせり合いを始めたという恰好である。

人工衞星が出來れば、そこをベース・キャンプとして、月や火星に行くことも、科學的に、少くも可能にはなる。アメリカの科學者の計畫では、三段のロケットを作ることになっているが、問題は速度であって、時速五千マイル程度の第一段ロケットが出來れば、これは可能になるのである。

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