中谷 宇吉郎
ジュネーヴの原子力会議
ジュネーヴにおける原子力平和利用の會議は十二日間にわたって開かれたが、日本の新聞では、この會議の記事が、大々的に報道されたことと思う。
アメリカの新聞でも、もちろん相當なスペースを割いて報道していたが、扱い方はいかにもアメリカ流である。シカゴ・デイリイ・ニュースには、これを米ソ原子力競技に見立てた記事が出ていた。ジュネーヴ會議を、アメリカではどういう風に受取っているか、ということは、日本の讀者にも興味があることと思われるので、概略をちょっとお傳えする。もちろん内容については、責任をもたないので、ただアメリカでどういう風に考えられているかを傳えるだけである。
第一に、過去一週間にわたるソ連の原子科學者の講演を、アメリカ側の科學者が檢討した結果として、ソ連の原子力關係の研究は、遙かにアメリカよりも後れているという結論を出している。
一、サイクロトロン、シンクロトロンなどの粒子加速裝置による研究は、原子力利用の基礎研究として、一番大切である。この方面では、二五%の分野でソ連がアメリカより進歩しているが、七五%の分野ではアメリカが進んでいる。