グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
麦の ほ
むかし むかし、神さまが、まだ じぶんで、この世の中を、あるきまわっていらっしゃったころの おはなしです。
そのころは、こくもつが、今よりも ずっとずっと よく みのりました。麦のほも、五十や六十 ばかりではありません。四百も五百も ついていました。なにしろ、くきには、麦のつぶが、上から下まで びっしり ついていたのです。くきが ながければながいほど、それだけ、麦のほも ながかったのです。
ところが、人間というものは、あんまり ものがたくさんあると、神さまが おめぐみをくださることも、つい わすれてしまいます。ありがたいとも おもわなくなって、いいかげんな かるはずみなことをしてしまいます。
ある日のことです。女の人が、子どもをつれて、麦ばたけのそばを とおりかかりました。子どもは、とんだり はねたりしていましたが、そのうちに、水たまりにおちて、ふくをよごしてしまいました。