新美 南吉
ごんごろ鐘
三月八日
お父さんが、夕方村会からかえって来て、こうおっしゃった。
「ごんごろ鐘を献納することにきまったよ。」
お母さんはじめ、うちじゅうのものがびっくりした。が、僕はあまり驚かなかった。僕たちの学校の門や鉄柵も、もうとっくに献納したのだから、尼寺のごんごろ鐘だって、お国のために献納したっていいのだと思っていた。でも小さかった時からあの鐘に朝晩したしんで来たことを思えば、ちょっとさびしい気もする。
新美 南吉
三月八日
お父さんが、夕方村会からかえって来て、こうおっしゃった。
「ごんごろ鐘を献納することにきまったよ。」
お母さんはじめ、うちじゅうのものがびっくりした。が、僕はあまり驚かなかった。僕たちの学校の門や鉄柵も、もうとっくに献納したのだから、尼寺のごんごろ鐘だって、お国のために献納したっていいのだと思っていた。でも小さかった時からあの鐘に朝晩したしんで来たことを思えば、ちょっとさびしい気もする。