新美 南吉

牛をつないだ椿の木

一

山の中の道のかたわらに、椿の若木がありました。牛曳きの利助さんは、それに牛をつなぎました。

人力曳きの海蔵さんも、椿の根本へ人力車をおきました。人力車は牛ではないから、つないでおかなくってもよかったのです。

そこで、利助さんと海蔵さんは、水をのみに山の中にはいってゆきました。道から一町ばかり山にわけいったところに、清くてつめたい清水がいつも湧いていたのであります。

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