佐左木 俊郎
接吻を盗む女の話
一 街裏の露地で
社は五時に退けることになっていた。
併し、鈴木三枝子は大抵の日を六時か六時半まで社に残るのだった。別に仕事はしなくてもタイム・レコードで居残り割増金をくれることになっているからだった。
鈴木三枝子は、昼の仕事をなるべく残すようにして置いて、居残りの時間をつくるようにした。地方の読者への勧誘状を書いたり、問い合わせに対する返事を書いたりして、彼女はどうかすると、八時頃まで残ることさえあった。
佐左木 俊郎
一 街裏の露地で
社は五時に退けることになっていた。
併し、鈴木三枝子は大抵の日を六時か六時半まで社に残るのだった。別に仕事はしなくてもタイム・レコードで居残り割増金をくれることになっているからだった。
鈴木三枝子は、昼の仕事をなるべく残すようにして置いて、居残りの時間をつくるようにした。地方の読者への勧誘状を書いたり、問い合わせに対する返事を書いたりして、彼女はどうかすると、八時頃まで残ることさえあった。