夏目 漱石

明暗

一

医者は探りを入れた後で、手術台の上から津田を下した。

「やっぱり穴が腸まで続いているんでした。この前探った時は、途中に瘢痕の隆起があったので、ついそこが行きどまりだとばかり思って、ああ云ったんですが、今日疎通を好くするために、そいつをがりがり掻き落して見ると、まだ奥があるんです」

「そうしてそれが腸まで続いているんですか」

青空文庫の作品カード