宮本 百合子

二十三番地

暫く明いて居た裏の家へ到々人が来て仕舞った。

子供達の遊び場になって居る広っぱに面して建って居る家だから、別にどうと云う程の事もなさそうなものだけれ共、やっぱり有難迷惑な、聞きたくもない兄弟喧嘩の泣声をきかされたり、うっかり垣根際に寄る事も遠慮しなけりゃあならないしするから、裏が明いて居た内は家中の者がのうのうとして居た。

場末の御かげでかなり広い地所を取って、めったに引越し騒ぎなんかしない家が続いて居るので、ポツッと間にはさまった斯う云う家が余計五月蠅がられたり何かして居るのである。

貸すための家に出来て居るんだから人が借りるのに無理が有ろう筈もないけれども、なろう事ならあんまり下司張った家族が来ません様にと願って居る。

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