宮本 百合子

追憶

二日も降り続いて居た雨が漸う止んで、時候の暑さが又ソロソロと這い出して来た様な日である。

まだ乾き切らない湿気と鈍い日差しが皆の心も体も懶るくさせて、天気に感じ易い私は非常に不調和な気分になって居た。

一日中書斎に座って、呆んやり立木の姿や有難い本の列などを眺めながら、周囲の沈んだ静けさと、物懶さに連れて、いつとはなし今自分の座って居る丁度此の処に彼の体の真中頃を置いて死に掛った叔父の事を思い出して居た。

私が七つの時に叔父は死んだ。

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